鶏肉から出る赤い汁をドリップと呼びますが、調理するときに水で洗うという人はちょっと待ってください!
見た目あまり気持ちのいいモノではないので水で洗いたくなる気持ちもわかりますが、鶏肉のドリップは洗ってしまうと食中毒を引き起こす可能性もあるんです。
今回は、鶏肉のドリップの正しい処理方法や食中毒の原因となる理由に、水洗いしてしまったときの対処法についてまとめました。
鶏肉のドリップの正しい処理方法
鶏肉のドリップは、主に冷凍していた物を解凍したときに出ることが多く、豚肉や牛肉でも赤い汁は出るのですが、鶏肉が一番出やすいと言われています。
鶏肉から出るドリップは血液ではなく分離した水分ですが、臭いも出るのでしっかりと処理をしてから調理したいところです。
鶏肉のドリップの処理方法は、水で洗うのではなく、キッチンタオルなどでしっかりと汁気がなくなるまで拭き取り、余分な水分を取り除くのが正しいやり方です。
鶏肉から出るドリップには菌が含まれている可能性もあることから、赤い汁を拭き取ったキッチンタオルはそのままゴミ箱に捨てるのではなく、いらないポリ袋に入れて口を縛ってから捨てると良いでしょう。
解凍した鶏肉だけでなく、冷蔵庫に入れていた物でもドリップがでることもあります。トレーやパック内に残ったドリップも水洗いしてしまうと、シンクに菌が飛び散ってしまう可能性があります。
鶏肉だけでなくトレーに残ったドリップもキッチンタオルに汁気を吸わせてポリ袋に入れて捨てるか、調理中は別の場所に避けて置き、すべての調理が終った後に菌が飛び散らないように洗い流し、シンク回りの煮沸消毒と乾燥を忘れないように行ってください!
鶏肉のドリップを処理した後は、もも肉・胸肉・ささみそれぞれの部位に合わせた下処理をしてから調理するのがベストです。
もも肉なら固くならないように筋切り、むね肉はパサパサ感をなくすために厚さを揃えてカット、ささみは食感を良くするためにスジを取ってから調理しましょう。
特に皮や黄みがかった脂肪の塊の部分はドリップと共に臭みの原因となるので、余分な物は取り除いてから調理することで美味しく食べることができます。
鶏肉のドリップを洗うと食中毒の原因になる?
鶏肉のドリップには、カンピロバクターと呼ばれる食中毒を引き起こす原因となる菌が付着しています。
鶏肉から出たドリップはあまり気分のいいものではないので、水で洗うのが良いのかなと思いがちですが、その行為がとても危険です!
鶏肉からでた赤い汁を水道水で洗い流すことでシンク回りのあちこちにカンピロバクター菌を含んだ水滴が飛び散り、ほかの食材や近くに置いていた調理器具などに付着することもあります。
鶏肉のドリップに含まれるカンピロバクター菌自体は、しっかりと加熱処理することで食中毒を防ぐことはできます。
ただ、鶏肉が半ナマ状態だったり、ドリップが飛び散った野菜などの食材にしっかりと火が通っていなかったり、ドリップが付着した調理器具やドリップに触れた手で食器などを触ると、腹痛や下痢・吐き気・嘔吐など食中毒が起きる原因となることから注意が必要です!
カンピロバクター菌自体は鶏の消化器官内に潜んでいるため、工場での加工段階で菌を取り除くことは困難です。
こう聞くと鶏肉自体を食べることに躊躇してしまいがちですが、調理のときに生焼けの箇所がないようしっかりと中まで火を通すことで、熱に弱いカンピロバクターは死滅するので安心してください。
鶏肉のドリップによる食中毒を起こさないために大切なことは、調理の際に鶏肉から出るドリップを水で洗うことは絶対に避け、付着した赤い汁やヌメリはキッチンタオルでキレイに拭き取ることです!
鶏肉のドリップを処理した手で次の調理工程でほかの食材を触ると、カンピロバクター菌を拡げてしまい食中毒を引き起こしてしまうリスクもあります。
次の調理工程に移る前にドリップに触れた手をしっかりと洗うか、使い捨てのビニール手袋を使って処理することで二次感染を防ぐよう気をつけると良いでしょう。
鶏肉の赤い汁を水洗いしてしまったら
鶏肉から出た赤い汁をいつものクセでついつい水洗いしてしまったら、その後の処理はどうしたら良いでしょうか?
まずは、手に付いたカンピロバクター菌で他の食材や調理器具をベタベタと触ってしまうことで食中毒を引き起こしてしまわないように、石鹸などで充分に手洗いを行ってください。念には念をで、手洗い後は除菌スプレーで消毒を行いましょう。
鶏肉の赤い汁が付いた包丁やまな板は、食器用洗剤で洗うだけでは殺菌が完全とはいえません。赤い汁に含まれるカンピロバクター菌は熱に弱いので、熱湯で煮沸消毒したうえで洗浄し、キッチン用の除菌スプレーまで行い殺菌するのがベストです!
このとき、鶏肉を水洗いしてしまった際に水滴が飛び散ったと考えられる調理器具類やシンク周りも熱湯をかけて煮沸消毒し、しっかりと水気を拭き取った後、除菌スプレーを振りかけて殺菌処理を忘れずにしてくださいね。
鶏肉に限らず豚肉や牛肉でも赤い汁はでます。できれば、お肉とほかの食材のまな板は別々の物を準備して使い分けするのがベストですし、肉用の箸やトングも専用の物を決めておくことで二次感染を防ぐことができますね。
使い分けするのが面倒という方は、飲み終わった牛乳パックやジュースパックなどを開いてまな板代わりに活用するのもオススメです。
紙パックは割と頑丈でしっかりとした作りなので、肉と一緒に切れることもなく使用後は折りたたんでそのまま捨てられるので一石二鳥です。
鶏肉や野菜などに付着した食中毒菌はしっかりと火を通すことで殺菌できるので、肉の中心部に半生の部分が残らないように加熱調理してください。
鶏肉のドリップを水洗いするとき、そんなに勢いよく水も出してないし言うほど飛び散ってないでしょと思ったとしても、カンピロバクター菌は目に見えるわけではないので安易な考えは禁物です。
今まで水洗いをしてきたけど食中毒にかかったことはないし大丈夫でしょという方も、これまではたまたま腹痛や下痢・嘔吐などに合わずに済んでいただけかもしれません。
菌の数が少なくても食中毒を引き起こす可能性はゼロではありません。鶏肉は水洗いしなくても加熱することで菌は死滅しますし、水洗いすることで水っぽくなって美味しくなくなるので、水洗いするのはやめましょう!
まとめ
鶏肉のドリップを洗う行為は、臭いやヌメリを落とすのに必要な処理のように感じられますが、水洗いしてしまうことで食中毒になる可能性を拡げていたかと思うと恐ろしいですね。
鶏肉に限らず豚肉や牛肉など生肉全般に同じことが言え、水洗いすると肉に含まれる旨味成分が抜けるだけでなく水っぽくなり、美味しさが半減してしまいます。
カンピロバクター菌をまき散らすことで食中毒の危険も高まるので、赤い汁が出ていたら肉もパックされているトレーも水洗いせずにキッチンタオルで拭き取って適切な処理をし、しっかりと加熱調理してください。
肉とほかの食材で使う包丁やまな板・調理器具を使い分けることで二次感染を抑えることができるので、自身や家族のために面倒がらず実践していきましょう!
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